「アイリーン様、お待ちしておりました。」

馬車を降り、一番最初に目に映ったのは出迎えの侍従やメイドたち。
そして少し小走りでこちらに向かってくる王太子ヴァルテリの姿。

「アイリーン、出迎えに間に合わず、申し訳ない。
父上からもらった仕事に時間がかかってしまった。」

「ヴァルテリ様、こんにちは。
これからよろしくお願いしますね。」

ふたりが一通りの挨拶を交わした後、側に控えていた侍従がアイリーンを部屋まで案内すると言ったが、ヴァルテリはそれを辞退し、自分でアイリーンを案内すると言った。

「アイリーン、君の部屋へ案内しよう。

リンネも私たちについてきてほしい。」

その場でアイリーンの荷物を持ち、立ち尽くしていたリンネに声をかけ忘れることなく、3人はアイリーンの部屋へと歩いて行った。