「そなたの気持ちは分かった。
ただ、女公爵の地位が欲しくなったら、いつでも私に言いなさい。

最後にヴァルテリ、お前はアイリーンのことをどう思う?」

てっきりせっかくの褒美を辞退したアイリーンを叱ると思っていたアイリーンは少しだけ、耐えていたがルーメンティーの口から出てきたものは違っていた。

そして、隣にいる王太子、ヴァルテリが出した答えは、こうだった。

「私は何も努力せずに親の権力にすがるようなものや、親のお金を見境なく使い、着飾る者は嫌いです。

しかし、アイリーン・キャンベル殿にはそのような感情を抱かなかった。
普通なら一番最初に父上が提示したものを迷うことなく欲しがるはず。
一生楽して暮らすことができるのだから。

アイリーン殿は何も褒美はいらない、スリジエの称号だけでも恐れ多いと言った。

こんな娘にはあったことがない。
私はアイリーン殿と7歳年が離れているが、アイリーン殿を生涯の妃としたい。」

途中から顔が真っ赤になっているアイリーンに国王は「愚息がこう言っているから婚約してくれないか。」と告げた。

そしてアイリーンは「若輩者ですが、王太子様の名を汚さぬように一生懸命努めさせていただきます。」と答えた。