ヴァルテリが生まれ、明日で3年が経つ。

その1か月前、アイリーンは28歳の誕生日を迎えた。

ヴァルテリ3歳の誕生日は本来見ることができなかったもの。

しかし、今ここにアイリーンは生きている。

なぜなら28歳の誕生日、それは本来断頭台の露として消える日だった。

オベリア王国始まって以来の悪女として描かれていたニコラス・キャンベル大公の娘、アイリーン・キャンベル。

罪状は王妃となったのちに浪費を繰り返し、国を傾かせたこと。

しかし、未来は変えられる。

それをアイリーン・アルヴァドスは実現した。

人々は言う。

『天使がこの国に舞い降りた。
天使の名はアイリーン・アルヴァドス女王陛下。

彼女は国を世界で一番幸せな国にした。』と。