アンドレアとシャルティアーナが結婚式を挙げた３日後、アイリーンは王宮へ向かう馬車の中でアイリーンは産気づいた。

「母上、大丈夫ですか？」

「お母さま、大丈夫なの…？」

アイリーンの向かい側に座っているサクラとハイメが心配そうにアイリーンに声をかけた。

「まだ、大丈夫。
あと数時間はかかると思うから…」

初産の時の経験からまだ生まれないということがわかっているアイリーンはまだ落ち着いていた。

「私は王太子、私は王太子…

ねぇ、今すぐ王宮に伝令を出して。
弟か妹が生まれそうなの。

王宮に着いたらすぐに休めるよう手配しておいて。」

サクラは小さくつぶやいた後、馬車を囲むようにして馬で追走している護衛騎士に声をかけた。

「王太子殿下、かしこまりました。
すぐに向かい、陛下の到着までには間に合わせます。」

サクラから声をかけられた護衛騎士は敬礼した後、馬に鞭を入れ、颯爽と走っていった。

「サクラ、ありがとう。
この子にも言えるわ。

貴方には立派なお姉さんとお兄さんがいるのよって。

もう少し待っていてね。
もうすぐお姉さんたちに会えるから。」

アイリーンは自分のおなかを優しくさすり、中にいる赤ちゃんに語りかけた。