半年後、キャンベル大公領には多くの人が集まっていた。

雲ひとつない晴れの日、今日アンドレアとシャルティアーナは結婚式を挙げる。

今日、シャルティアーナが身に着けているものは、アイリーンがヴァルテリと結婚式を挙げた際に来ていたウエディングドレスだ。

そう、何を隠そう、今シャルティアーナのおなかの中には新しい命が宿っている。

長いつわりも収まり、安定期に入った今日、ふたりは結ばれる。

長いベールの端を正装のサクラとハイメが持ち、結婚式の会場となっている丘の頂上までシャルティアーナはゆっくり歩いていた。

シャルティアーナがヴァルテリの元まで歩いていき、サクラとハイメは一度その場を離れた。

「アンドレア・キャンベル。
汝、シャルティアーナ・カイロン・ヴァン・アウグストゥスを妻とし、病める時も健やかなるときもともに協力し、キャンベル大公領をさらに発展させていくことを誓うか。」

前キャンベル大公から聞かれ、アンドレアは「はい」と力強く答えた。

「シャルティアーナ・カイロン・ヴァン・アウグストゥス。
汝、アンドレア・キャンベルを夫とし、病める時も健やかなるときもともに協力し、キャンベル大公領をさらに発展させることを誓うか。」

同じように聞かれたシャルティアーナはアンドレア同様に力強く「はい」と答えた。

「シャルティアーナ・カイロン・ヴァン・アウグストゥス。
本日より、シャルティアーナ・キャンベルと名乗ることを許可する。

アンドレアとともにこれからもよろしく頼む。」

続いて、指輪の交換に入る。

オベリア王国に指輪の交換をする習わしはないのだが、キール帝国には婚姻を経て妻は夫の所有物になるという意味合いを込めて一対の指輪をそれぞれ左手にはめるという習わしがあるとシャルティアーナから聞いていたアンドレアが、「じゃあ、ぼくたちは互いに協力して歩んでいくために、相手に敬意を込める」という意味で指輪をしようとなったため、このようになった。

リングピローから受け取った相手の指輪に口づけをし、相手の指にはめる。

こうすることで指輪の交換は自分を相手に預け、ともに歩むという意味合いを持つことになった。