「サクラ様、お母さまに謝りに行きましょう。」

ふたりでひとしきり泣いた後、シャルティアーナに連れられ、サクラはアイリーンの政務室を訪れた。

「お母さま、さっきはごめんなさい。
謝って許されるようなことではないけれど、もう言いません…

アンドレアとシャンティ様の結婚も応援します。
もう、アンドレアと結婚したいなんて言いません。」

下をうつむきながら、でもはっきりとサクラは自分の思いをアイリーンに伝えた。

「サクラ、こっちにおいで。」

アイリーンは両手を広げ、サクラを呼び、サクラのことを優しく抱きしめた。

「サクラ、お母さまも言い過ぎたわ。

アンドレアとシャンティ様のこと、ちゃんと祝福できるわよね？」

「はい、お母さま。
心から二人のことを祝福します。」

この日、サクラは一歩大人の階段を昇った。

王太子だからといって自分の思い通りにならないということを学ぶことができた重要な一日となった。