半月後、アイリーンの戴冠式は無事に終了し、オベリア王国初代女王、通算33代目の王となった。

女王となったからといって大きく政務の内容が変わるわけではなかったのが、アイリーンにとってのせめてもの救いだった。

ただ、ひとつだけ異なるのは最高責任者になったという緊張感が常にあるということ。

そしてその緊張感を少しでも軽減できるようにと補佐役として父、ニコラス・キャンベルが王宮で生活するようになったということだ。

当初、ルーメンティーが補佐役となる予定だったが、キャンベル大公、アイリーンの父から自分が補佐役を務めたいと申し出があったので、このようになっていた。

キャンベル大公が補佐役を申し出た理由はアイリーンを助けたいという気持ちだけではなく、アンドレアがどれほど力をつけたのか試したいということであった。

アイリーンもまた、身近な人が補佐役についたということで、以前と変わらずに日々の政務に取り組んでいた。