ルーメンティーの考え通り、アイリーンの即位を反対するものはなく、議会から満場一致を得ることができた。

アイリーンが女王に即位する日は半月後と決まった。

それまでは準備期間として戴冠式の練習などに充てられることとなった。

即位式は現国王が新国王に王位を譲るための式典であるが、ヴァルテリがいないため、その役目はひとつ前の国王、ルーメンティーが担うこととなった。

「アイリーン様、私は信じております。
アイリーン様であればヴァルテリ様の遺志を継ぎ、この国をよりよくしてくださると。」

ティーナ伯爵夫人にそう言われると、アイリーンはとても安心することができた。

今、アイリーンの心の中には、「ヴィックとともに見るはずだった国の未来を必ず作る」ということのみだった。