国王、ヴァルテリの死からひと月が経ち、今日は議会が再開される日だった。

今日の議題はただ一つ、新国王を誰にするかであった。

アイリーンはまだ喪に服す期間の為、黒のドレスで参加することになる。

そして今日の議会は今まで参加することの無かった人物も議会場に来ていた。

それは王太子であるサクラだった。
順当にいけば王太子が即位するのが一般的なため、この場に呼ばれていたのだ。

議長の挨拶により、議会が開会するとさっそく新国王を誰にするかの議論が始まった。

ひとりの男性が手を挙げ、まず継承順位を確認するべきではないかと唱えたため、話し合いは一時中断し、議長の口から王位継承順位が告げられた。

「王位継承第一位 サクラ・アルヴァドス王太子殿下
王位継承第二位 ハイメ・アルヴァドス殿下
王位継承第三位 アンドレア・キャンベル大公子息
王位継承第四位 アイリーン・アルヴァドス妃殿下

以上のようになっております。」

「順当に王太子殿下でいいんじゃないか。」

「いや、5歳で即位しても何もできない。」

「それならばキャンベル大公子息を。
彼もまだ若いが、少しずつ領地経営を学んでいるそうじゃないか。」

「そうすると、キャンベル大公家の跡取りがいなくなってお家断絶になるぞ。」

「アイリーン元王妃殿下がご実家に戻れば何も問題はない。」

「いや待て、もうひとりふさわしい人がいたぞ。
ルーメンティー前国王がいい。

彼ならば安心できるだろう。」

「それはいい考えだ。」

議員の中で意見がまとまったらしく、議員からはルーメンティーを再び即位させればいいという結論になった。

その様子をアイリーンはサクラとともに見ていた。

アイリーンもまだサクラが国王になるのは早いと考えていたので、その考えには賛成できた。

「そのほか、意見のある方はいますか?」

議長の声に手を挙げるものは誰もいなかった。

「それでは議員は全員一致でルーメンティー前国王陛下に再度即位してもらうということで話を進めます。

本日の議会はこれにて閉幕いたします。

次回の議会は新国王が決定した後になるので、しばらくはありません。」

議会が閉幕し、議員たちが退場したことを確認した後、アイリーンとサクラも議会場を後にした。