転生令嬢の悪役回避術ー心を入れ替え女王になりましたー

「新しい国が誕生したときに、苗字を新しくしてその時の苗字が長いんだけど、アイゼンティーヌ・ブノア・ドゥ・オヴェリアだった。

でも、他の人が覚えずらいから変えようって言って今の苗字に変えたのがサクラたちの曽祖父にあたるフランツという人物で、覚えやすいようにとアルヴァドスにしたってわけ。」

サクラとハイメは最初に制定された苗字を実際に口に出してみたが、覚えるのが一苦労のようだった。

「確かに、長くて覚えられないけれど、どうしてアルヴァドス性を名乗るようになったの？
国名のオヴェリアにすればいい気がするけれど…」

そうだよね、と言わんばかりにヴァルテリは微笑みを浮かべ、ヴァルテリ以外のアイリーン、サクラ、ハイメの頭の中にははてなが浮かんだ。

「神託によって決めたって私は習ったけれど違うの？」

「いや、あながち間違ってはいない。
公にはそういわれているけれど、実際にはフランツがカルヴァドスという名前のお酒が好きで、それをばれないように変えながら考えたのが今のアルヴァドスっていう苗字。

たった一文字しか変わらないけれど、カルヴァドスの流通量は少ないし、神託で授けられそうな名前だったからね。」

アイリーンとヴァルテリは好んでお酒を飲むタイプではなく、付き合い程度に飲むだけだったので、アイリーンは今までカルヴァドスを飲んだことがなく、そのお酒の味をイメージできなかった。

「お酒ってほわおわするやつ？」

お酒に興味を持ったか先ほどまで先ほどまで静かに話を聞いていたハイメが興味を持った。

「こら、お酒に興味を持たない。
お酒は１６歳の成人の儀の時に出されるお酒を飲んだ日から飲むことが許されているのだから。

でも、どうしてもカルヴァドスが飲みたいのなら、成人の儀が終わったその日にふたりが生まれた年のカルヴァドスを飲もう。

幸いにも、カルヴァドスはいっぱい地下に保管してあるから。」

「わかった。
早く大人になりたい！」

「じゃあ、まずはいっぱい睡眠をとらないとね。
ふたりはもう寝る時間でしょ。

眠くなくてもベッドに横になっていると自然と寝ちゃうから。」

アイリーンにそう諭され、ふたりはまだここにいたそうな雰囲気を出しながらも、おとなしく言うことを聞いて自室へ戻っていった。