アイリーンとヴァルテリが議会場へ入ったとき、すでにそこには全員と思われる人数が待っていた。

そしてアイリーンとヴァルテリが着席すると今年度から議長に就任したエリック・オルモンドが開会のあいさつをした。

「それではただいまから議会を開会します。

本日の議題を出したケネス・マライアさん議題の説明をしてください。」

ケネス・マライアは起立し、議案の説明を始めた。

「はい。
今回私が出した議題は王都の整備についてです。

貴族街に住んでいる方は一般街に来ることはないと思いますが、熱心に聞いていただけると幸いです。

私は以前から王都の一般街に住んでいて、今もそこから王宮に通っています。
一般街はほとんど舗装されていなく、雨が降ると地面はぬかるみ、水たまりができます。

一度できた水たまりは排水施設などがないので、晴れて完全に乾くまで残ります。
ただの雨ならばいつものことなので私たちも慣れています。

しかし数か月に一度あるかないかの大雨の時はもっと最悪です。
道は川のように水が流れるようになります。そうなってしまうと元に戻るまで1か月かかります。

地面の水たまりなどが元に戻っても、流されてしまった土は戻らないので道はどんどん低くなっていきます。

低くなったところにまた大雨が降ればより水がたまるようになり、また土が無くなる。
その繰り返しです。

現に一部の場所では土が無くなり、斜めになったことが原因で家が倒壊しているという実態もあります。

皆様が納得してくださり、この議案が可決されたらきっと王都はもっと住みやすくなるはずです。

どうかよろしくお願いします。」

説明が終わったケネス・マライアは全体に向けて深々とお辞儀をした後、着席した。