そして迎えた議会が開会する日。

議会は午後から始まるのでアイリーンとヴァルテリは直前まで政務室に籠もっていた。

いつもならばサクラやハイメが政務室に入ってきても何も言わないのだが、この日に限っては政務に集中するため、事前に乳母にふたりが政務室に入らないようにしてほしいと伝えていた。

政務に関しては毎日やっているので今日やらなければならない分は数時間で終了した。

しかしアイリーンとヴァルテリが政務室から出てくることはなかった。

今日の分の政務が終わっても午後からの議会があるため、そちらの準備も完璧にする必要があったのだ。

今日の議題は以前議題にしたいと申し出があった王都の整備に関してだ。

王都には貴族が多く住む貴族街とそれ以外の国民が住む一般街がある。貴族街の方は舗装されていて雨が降っても困ることはないが一般街の方はほとんど舗装がされてなく、雨が降ると道が通れなくなることがあるのでどうにかしてほしいと懇願されていた。

この議題は今日から始まる貴族とその他国民がともに議論するのにうってつけのものだった。

以前の議会ではこの議題が可決されることはまずないし、議題に上がるなんてこともなかった。

この議題が上がったとき、アイリーンが思ったことは、貴族は何というのかそれに対して貴族ではない国民は何と答えるのか。

もし貴族が不当な意見を通そうものなら止めるけど、そうでなければ何も発言しないと。

それは事前にヴァルテリにも伝えていたので、きっとヴァルテリも不必要な助太刀はしないだろうとアイリーンは考えていた。