政務室に集合したアイリーンとヴァルテリは早速3日後から行われる今年度の議会について話を始めた。

「レイに確認したら、新しく議員に選出され、王都に屋敷を持っていないものは新しく作られた屋敷に全員移住が完了したらしい。」

レイとはヴァルテリが国王になったときに新しく選ばれた政務補佐官で、名をレイ・オルモンドという。

レイはオルモンド男爵家の次男で優秀な頭脳を持った男性だ。

そしてレイの兄であるエリックもまた優秀な人物で、議員選出試験に合格した人物のひとりであった。

「そう、間に合ってよかったわ。
ねぇ、今更なんだけど、議会大丈夫かしら…」

「大丈夫かどうかは当日になってみないとわからないけど、俺は大丈夫だと思うよ。

だって、今年度から議会に参加する人は皆、試験に合格しているのだから。
昔みたいに形にこだわる貴族は少ないと思うよ。」

「そ、そうよね。
今更心配したって何か変わるわけでもないし、エリックだっているものね。」

本当はこの政策がうまくいくのかアイリーンとヴァルテリはずっと心配に思っていた。

実際に貴族ではない人も議会に参加できるようにすると伝えたときはたくさんの罵声も浴びてきた。

それでもアイリーンとヴァルテリがあきらめなかったのは、あの日、貴族だけで行われていた議会で自分たちの生活を豊かにするために国民からの税を増やそうとふざけたことをいう貴族がいたからであった。

「そうだ。
俺たちも議会に参加するのだから、最悪の場合は止めることもできるしな…」

一抹の不安を感じつつも3日後に迫った議会に向けてアイリーンとヴァルテリは最後の準備を始めた。