試験の合格発表が終わってから3日後、今日は家族みんなで別荘へと向かう日であった。

今回お供するのは護衛騎士15人、リンネを含めたメイド5人とショーベリン、乳母とその子どもだった。

乳母は自分の子どもは置いていくと言ったのだが、サクラとハイメがアリサも一緒がいいと言ったため、同行することになった。

馬車の周りを護衛騎士が馬に乗りながら囲み、一行は別荘へと向かった。

別荘までの道のりは3時間ほどとかなり離れた場所にあったのだが、サクラとハイメがずっと話していたので、さほど退屈することもなかった。

別荘へ到着し、荷物がすべて中に運び込まれるとアイリーンたちは居間へ集合した。

「2ヵ月ここで過ごすけど、何がしたい?」

「探検!」

「お庭で遊ぶ!」

サクラとハイメがこの別荘に来たのは今日が初めてだった。

そのため、ハイメはこの屋敷内を探検すると今からやる気満々だった。

サクラは芝生が敷いてある広い中庭でおままごとをしたいと言っていた。

サクラは今、お茶会の主催者になったつもりのおままごとをするのがとても好きで、アイリーンたちはよくそのおままごとに参加していた。

「あとお菓子作るの!」

また、サクラはお菓子を作ることにもはまっており、王宮でもたまに菓子職人の隣で材料を混ぜたりしていたので、ここでもそれをしたいと言い出した。

「よし!
今日はこの屋敷を4人で探検しよう!

それで、明日はサクラが主催のお茶会を中庭でしよう!」

ヴァルテリはどちらの意見も組み込みつつ、今日からの予定を決めた。

「サクラ、探検するっていうから、もうちょっと動きやすい服装に着替えてこよう。」

今、アイリーンとサクラは少しパニエの入った、豪華なドレスを着用していた。

このままでは動きづらいので、ふたりは衣裳室へ向かい、細身の動きやすいドレスに着替えた。

「お待たせ。
探検、行きましょう!」

着替えを済ませたアイリーンとサクラが合流し、屋敷の探検がスタートした。