そして一次試験当日。

試験を申し込んだもの全員が王宮内に集められた。

今日行われる一次試験は筆記試験で、合格点に達した者のみが次の試験に参加できることになっていた。

ちなみに試験の合格点は80点以上とかなり高めに設定されていた。

アイリーンは事前に全く同じ問題を解いていて、その時の成績は83点だった。

この試験は王太子妃になるときにかなり勉強をしていたアイリーンでさえ合格点を少し超えたところと、かなり難しく仕上がっていた。

またこの試験は4時間に及び行われるので、忍耐力との戦いでもあった。

王宮に集められた受験者たちは申し込んだ際の受験番号順に3つの部屋に分けられた。

試験開始は30分後。

開始10分前までは着席したまま参考書などを見れるため、受験者たちは一生懸命最後の確認をしていた。

ちなみにアイリーンは第一試験場に、ヴァルテリは第三試験場に、第二試験場にはルーメンティーが試験官として紛れ込んでいる。

そして試験開始10分前、試験官の合図により受験者たちは参考書を鞄の中にしまった。

試験官たちが問題用紙と回答用紙を配布し、解き方などを説明し終えた後、ついに試験が開始された。

開始1時間が過ぎたころは皆集中して問題を解いていたが、2時間ごろに差し掛かると集中力が途切れてきたものが多数出てきて、貧乏ゆすりなどをするものが出てきた。

「やはり集中力が切れるものもいるのか…」

ヴァルテリは小声でひとりごとを呟いた。

試験終了が近づくと最終確認をしているもの、転寝をしている人など様々だったが、試験終了までは声をかけてはいけないので、第一試験場を見ていたアイリーンは静かに見守っていた。

「そこまでです。
ペンを置いて解答用紙を裏返しにしてください。」

ひとりの試験官が全体に声をかけると横に控えていた試験官が解答用紙を順番に回収していった。

全ての受験者の解答用紙を回収し終え、一か所にまとめ終わった後、それぞれの試験会場にいる王族が中央に出て、今後の予定を説明しだした。

「4時間にも及ぶ試験お疲れさまでした。

二次試験に関しては合格者のみに6日以内に王宮からの伝令係を申し込みの際に記載した住所に向かわせます。

それまでに伝令係が来ない場合は残念ながら不合格ということになります。

以上で本日の試験は終了です。
各自、帰宅してください。」

その言葉を聞いた受験者たちは身支度を済ませたものから順に試験場を後にしていった。