「アイリーン、明日からなんだけど、今までルーメンティーとカルロティーがしていたことを自分たちでやらなければならない。

この中で削減できるようなものはあるか、考えたい。」

事前に国王と王妃の仕事を引き継いでもらっていたのだが、その政務は今までとは比にならないくらい多かった。

アイリーンはじっくりと資料を読み返し、メモを適宜しながら考えた。

「これは、国民に割り振ってもいいのではないでしょうか。

これも、貴族が占有する必要はないかと。
そして、これは削ってもいいのではないでしょうか。

これもやり方を変えればもっと効率が上がると思います。」

アイリーンは何度も何度も資料を読み返し、改善案を述べた。

「やっぱりそうか。
俺もアイリーンが提示したものに関しては全く同意見だ。

俺はこれもできると思ったのだがどうだろう。」

「これはもう少ししてからでもいいかもしれません。
きっと今すぐに変えるよりも、国内が安定してから変える方がうまくいくと思います。」

ヴァルテリがアイリーンに示したものは、国有地を貴族ではなく、国民に管理してもらうというものだった。

現在、国有地は王家から任命された貴族が管理しているが、自分の領地ではないため、貴族たちは適当に管理することが多かった。

そのため、荒れてしまっている場所もあり、すぐには手が付けられそうになかった。

「なるほど…
確かに早すぎるか…」

ヴァルテリはアイリーンの的を射た発言に深く感心していた。