「皆様、お疲れ様です。
こちらに冷たい紅茶を用意しておりますので、どうぞ。」

バルコニーから部屋に戻ってきた4人を待っていたのはリンネが用意してくれた冷たいフレーバーティーだった。

アイリーンとヴァルテリには甘さ控えめの、サクラとハイメには少し甘めのものだった。

紅茶を楽しんだアイリーンとヴァルテリは先ほどの式典でつけてもらった王冠とティアラ、マントを侍従に預けた。

「終わったわね、ヴィック。」

「アイリーンもふたりもお疲れさま。
今日はこれしかないから、サクラとハイメはゆっくり休むといい。」

「はい、お父様。
ハイメとともに先に戻らせていただきます。」

サクラは王太子と任命されてからまだ1時間程度しかたっていなかった。

しかし、王太子としての意識は芽生えたようで、式典前とは全く異なっていた。

そしてハイメを連れて、乳母とともに自分たちの部屋へ戻っていった。

「アイリーン、明日からのことを少し話したい。」

「わかりました。
それでは執務室に30分後でよろしいですか?」

「大丈夫。
俺もそれまでの間、着替えたりするから。」

アイリーンはリンネとともに自室へ、ヴァルテリはひとりで自室へと向かった。

「リンネ、今日は簡単に着れるドレスでお願い。」

髪をほどき、アイリーンの式典用のドレスを脱がせ、薄緑の細身のドレスをアイリーンに着せた。

簡単に髪をまとめなおし、時間になったので、アイリーンは執務室へと向かった。