「それではただいまより、本日の議会を開始します。

バードリー財務大臣、発言を。」

今日の議題が国の財政状況に関することであったため、バードリー伯爵は議長の許しを得て発言を始めた。

「現在、国内の状況は好ましくありません。
我々の生活を国民が脅かしています。

皆様、資料をご覧ください。
これだけの国民がいるのであれば、我々がもっとより良い生活を送れるように税を増やすべきではないでしょうか?

なぜ、我々が我慢をしなければならないのでしょう?
お金がなければ国民から税を集めれば解決するはず。

そうでしょう?」

「そうだ!
もっと増やせ!!」

王太子の参加が義務付けられていないものはこんなにもひどい状況なのかと、ヴァルテリはかなり落胆していた。

アイリーンも、これが許されるはずではないと、今にも怒り出しそうな状態だった。

「それでは、国民からの税をより増やすということでよろしいですな。」

「ちょっと、待って。」

ついに我慢が出来なくなったアイリーンは手を高々と上げ、意見を言いたいと議長に示した。

「どうぞ、アイリーン妃殿下。」

議長から発言の許可をもらうと、アイリーンはバードリー伯爵のほうを向き、発言した。

「私は国民からこれ以上税を取ることに強く反対をします。
貴族が快適に暮らすために一般市民がいるのではない。
国が豊かになるために、国民は存在しているのではないでしょうか。

私はその豊かさとは心の豊かさが大きいと思っています。
苦しめられれば、豊かにはならず、この国は滅びてしまうのではないでしょうか。

わたくしはそう思います。
それでも、このまま税を増やそうとするのであれば、王太子妃の権限を持って、あなたの財務大臣罷免を要求いたします。」

アイリーンは初めての議会参加だったのも関わらず、一切怖気づくことなく、自分の主張を言い遂げた。

バードリー伯爵はいら立ちを隠せていないようだったが、ほかの貴族たちがひそひそと何かを話しており、今すぐに反論することができなかった。

「ほかに何か意見のある方はいますか?」

議長の声掛けにより次に発言したのは、アイリーンの家庭教師であったティーナ伯爵夫人の夫、ティーナ伯爵だった。