抗がん剤治療最終日、再び橋本先生によって診察が行われた。

予定どおりに小さくなっていれば手術に進むためだ。

「レントゲンを見たところ、当初予定していたよりも小さくはなっていませんが、正直このまま抗がん剤治療を続けていても小さくなるとは考えられません。
桜木さんの体力を考えると、このまま手術に移るのが効果的かと考えられます。」

私の右足の手術は5日後に決まった。
もしかしたらこの右足とはお別れになると思うと、急に愛着がわいてきた。

私はベッドから起き上がり、自分の右足をさすり続けた。自分のものが自分のものではなくなるなどやはり受け入れられるものではなかった。