わるいひと



「ねえ、名前は?」

「トワだよ」

「トワ、ね」

「アッ、ごめーん、もうそろそろ俺行かなきゃ。じゃあねぇ」

「またね」じゃなくて「じゃあね」。

もうあたしとは会うつもりも無いのだろう。

名前も聞かれなかったし。


─ザァー

いつの間にか小降りだった雨が大降りになっていて、


なんとも言えないまま、あたしはその場で暫(しばら)く立ち尽くしていた。