つい見入ってしまった、もう少しそばで見ようと思い近づいたら足元にあったバケツに気づかず思いっきり蹴飛ばしてしまった。

｢っ！…誰か、いるの？｣

こちらの音に驚いてこちらを見つめる獣人

｢ごっ、ごめんなさい…とても魅力的だったので、つい見入ってしまって……｣

慌てて彼女の前に出る

｢あら、あなた確かダンスチームの子よね？えっと名前は確か…｣

俺の事を知っているようだ顎に手を添えて考えるポーズをとる。

｢はい、アラスカオオカミの半人半獣。高校1年生、ダンスチーム所属のジルです！｣

ってなんでバカでかい声で自己紹介してるんだ俺は……

｢そう！ジルくんよね！入学式での顔合わせの時に見たことあったのよ、私は3年生のマナ、あなたと同じ演劇部ダンスチーム所属よ｣

あざとくウインクをしてみせるマナという彼女
先輩ということか…

｢…あ、え？ダンスチーム所属って部活の顔合わせの時はいなかった、あっいや。いなかったですよね？それに、中学生からいますけど会ったことないですし……｣

何をオドオドしているんだ俺は…これじゃ完全に陰キャじゃないか。

｢今まではちょうど家の用事で出られなかったのよ、でも部長からは聞いていたでしょう？同じ種族がいるって｣

あぁ、そんなことを言っていた気がするな。確か｢今この場にはいないがダンスチームにホッキョクオオカミの獣人がいる種類は違えど同じ種族だ、仲良くしろよ｣と言われていたのをすっかり忘れていた。

｢ここで出会ったのも何かの縁よ。種類は違えど同じ種族、仲良くしましょ！｣

目の前に手を差し出してくる、握手…ということだろうか。

俺も手を差し出してみるとギュッと俺の手を握りブンブンと振ってくる。

可愛い…

何を思っているんだ俺は。