「えええ、いやちょっと待ってください。あのう、私の素性とか、実家のこととか調べなくてもいいんですか?」

「魔法学校には例外を除き、きちんとした貴族の令嬢しか通えない。だから大丈夫ですわ」

 突然後ろからかけられた声に、神経が逆なでされた。

 ちらっと振り返ると、そこにはアーロンとソフィアが。

「いい話が聞こえてきたぞ。お前も人並みに嫁をもらう気になったか」

 たしか王子たちは全員母親が違う。ので、歳もほぼ同じくらいだったことをアリスは思い出す。

「アリス嬢は成績優秀、見た目もこの通り綺麗で、良家のご出身ですわ。そのせいか、例外の庶民に意地悪を……いいえ、色々ご親切に教えてくださって」

 明らかに悪意があるソフィアの言い方に、アリスの神経はますます逆なでされた。

「彼女こそ、アーロン殿下の妃に相応しいお方だと思いますわ」

「うむ」

 ソフィアの余計な後押しで、国王はますますアリスに興味を持ったようだった。

 じっくりと彼女を眺め、やがて頷いた。

「よし、決まりだ。アーロンだけでなく、ルークも婚約者を見つけるとは! なんとめでたい夜だ!」