「私は第六王子、ルーク。ダンスはできないが、一緒に来てほしい」

 繊細な見た目とは逆に、ぶっきらぼうな話し方。

(ゲームの攻略キャラは第五王子までだった。第六王子もいたのか。そんな隠しルート、聞いたことないけどな)

 王族の誘いを断るわけにもいかず、アリスはおずおずとその手を取った。

 顔に似合わず分厚い手に引かれ、彼女はついていく。すると、行きついた先はあろうことか国王の席だった。

「国王陛下、お話があります」

 ルークに続き、アリスも慌てて跪き、頭を下げた。

「苦しゅうない、立つが良い。おお、その娘は先程の。見事であったな」

「もったいないお言葉です」

 ルークの陰に隠れるように立つ。さすがに国王の御前だと思うと緊張した。

「国王陛下、このご令嬢を私にください」

「えっ?」

「私はこのご令嬢と結婚したい」

 アリスはぽかんと口を開け、ルークを見上げた。

(この人、会ったばかりで何を言っているの?)

 王族の求婚を、貴族は断れない。反逆罪はその場で死刑だ。

 アリスは何も言えずにただすまし顔のルークを見つめた。

「それはまた急だな。私は構わないが」

 国王はあっさり、ルークの申し出を認めてしまう。