(さっさと婚約発表して、舞踏会にならないかな)
そわそわしていると、突然楽隊がトランペットを吹き鳴らすのを合図に、舞台に国王が登場した。
しんと静まり返った大広間に、国王の声が響く。
「皆の者、頭を上げよ。本日集まってもらったのは他でもない、アーロン王子の婚約者を発表するためだ」
期待で空気がざわめくのを、アリスは肌で感じる。
国王に手招きされ、アーロンが舞台に上がった。
「皆さん、今日はお集まりいただきありがとうございます。早速ですが、私の婚約者をここで発表しようと思います」
ゲームでは、一番好感度を上げたキャラが舞台に上がって主人公を指名する。
(普通は事前にプロポーズしておいて、婚約が決まってからみんなの前で発表だよね。アーロン王子ってよっぽど断られない自信があるのかな。いや、王族の求婚を断れるわけないか)
アリスは少し冷めた目で舞台上を見てしまう。
アーロン王子はゲームのキャラだけあってイケメンだが、自分に酔っているような雰囲気がある。
「私が選んだのは……王立魔法学校三年、ソフィア・ミラー嬢です」
大げさに息を飲む音が聞こえ、みんながそちらに注目した。



