一か月後。

「ついに……ついに錬成に成功したわっ!」

 叫んだアリスは、その物を持って廊下に飛び出した。掃除をしていた隊員がアリスを見つけるなり、走って逃げていく。

「ちょっと。どうして逃げるのっ?」

「だって、お妃様、それ臭いからー! 腐った豆を持ってるからー!」

 帰郷後、国王のおかげでルークたちはメイドを数人、畜産と農業をする男性の使用人数人を雇えるようになった。

 よって自分の時間が増えたアリスは、せっせと納豆の製造を試みていたのである。

「ひとくち食べてみてって。とっても栄養があるのよ!」

「いーやー!」

 糸を引く納豆を持って隊員を追いかけたアリスは、数分後に力尽きた。

(運動不足かしら……)

 ぜえはあと息をし、諦めて納豆を戻そうと厨房に向かう。

 亜里は毎日ハードな業務をこなしながら、コミケや声優のライブ、2.5次元舞台に精力的に外出していた。

(あの頃よりよほど楽になったわね)

 あとで自分が美味しくいただくことにし、彼女は納豆を片付けて外に出た。