笑顔の国王夫妻に、ジョシュアも戸惑いを隠せない。
「いや、俺も、陛下に疎まれて左遷されるのだと聞いていました」
「なんだと。お前にもちゃんと『ルークを守るため』と説明したではないか。余より他の者が言ったことを信じたのか」
鷹揚だった国王も、さすがに怒りだす。
「陛下、悪いのはお二人の動揺につけこんで虚偽を吹聴した人物ですよ」
「おお、そうだ」
ルークの母が優しく言えば、国王はすぐに平常心を取り戻す。
「アーロン。お前はどうしてルークに嘘を申した」
じっと見つめられ、アーロンはすくみ上がる。
「それは……」
「ただの意地悪でしょう。俺もそういう心の弱みにつけこむような嘘を言われた記憶があります。年下でも、自分の王位継承を邪魔する者を恐れていたのかな」
本人の代わりに淡々と口を開いたのは、近くの席に座っていたラズロだった。
「意地悪なのか」
「も、申し訳ございません。子供だったものですから」
「子供といっても、当時お前は十七だったではないか。まったく、呆れたやつだ」



