メイドに案内された部屋には、三つのテーブルがコの字になるように置かれていた。
コの字テーブルの正面には丸いテーブルが点在し、他の王子や大臣、警備隊の席がある。もうほとんどの席が埋まっていた。
先日の事件の慰労食事会との名目なので、全部で三十名ほどが入れる部屋は、国王が大きな声を出せば全員に聞こえるくらいの面積しかない。
警備隊からはジョシュアと他ふたりの隊員が代表で参加している。
アリスたちが席に着くのと同時、もう一組の招待客が現れた。
「げっ」
思わず声が出てしまったのも無理はない。現れたのは、第一王子夫妻……すなわち、アーロンとソフィアだった。
結婚式を中止にされたばかりか怪我をして寝込んでいたアーロンは、少し痩せたように思えた。
といっても怪我自体はたいしたことなく、街の復興や事態の収拾が面倒臭くて出てこないのではないかという噂が既に城じゅうに広まっていた。
ソフィアも丸い顔に疲労の色を滲ませていた。こちらは国王や王妃から長々と説教を受けたという噂だ。
今さら王太子妃の資質を問われた彼女は、しくしくと泣き、謹慎して反省したということだ。



