悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています


 庭園はあっという間に人で溢れかえった。立ったり座った状態で待てる者はいいが、気を失っている者も多い。

「場所がなくなっちゃった。いいわ、花壇にシーツでも絨毯でも敷いて、寝かせちゃいましょう。緊急性のある人から私が処置するわ」

 警備隊でも稽古中の怪我人が出ることがある。その場合は自分たちで処置をしていたので、軽い応急手当で済む者は隊員に任せることにした。

「花壇……あの女がメソメソしそうだな」

 ルークがげんなりした表情で言う。

「させておけばいいのよ。あんなの演技で、本当はお花より自分が好きなんだから。何か言われたら、私が代表で叱られてあげるわ」

 うなずいた隊員たちが花壇にシーツを広げ、重症者を寝転ばせる。

「そもそもお城は、避難所の役目を果たすためにあるのよ」

 アリスは次々に処置に必要な物品を召喚した。

 ひどいやけどを負った者は、ラズロの手から溢れる流水で患部を冷やしてから薬を塗った。

「大丈夫ですか。しっかりして」

 皮膚移植ができればいいのだが、アリスはそこまでの技術を持ち合わせていない。

 薬を塗り、抗生剤を点滴するのが精一杯だった。