悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています


 結婚式当日の王都は近年まれに見る賑やかさに彩られていた。

「ほわ~……」

 前日に到着したアリスは、花で飾られた城下を見てため息を漏らす。

 辺境の地とはケタ違いの活気。市民も生き生きと働き、王子の結婚を祝うケーキや花がそこかしこで売られている。

 頭に花輪を付けた子供が広場を走り回り、踊り子が舞う。

「すごいわねえ。あ、先に言っておくけど羨しいわけじゃないから」

「先回りのフォローは余計に心苦しいぞ」

 質素を絵に描いたようなルークたちの結婚式とは規模も何もかもが違う。

 ルークが落ち込まないようにフォローしたつもりだったが、無駄だったらしい。

 ちなみに城の敷地内に泊まることを許されたのはルークとアリスのみで、警備隊は馬車と共に外で夜を明かした。

 温かい季節とはいえ、ひどい話だ。食事が出されただけ、まだよかったと言えるのかもしれない。

 侍女もおらず、ひとりでドレスを着たアリスは、よっこらしょと立ち上がった。

 ルークたちにあてがわれたのは城の敷地内の隅にある離宮だった。ここから本城まで歩かなければならない。三十分はかかるだろう。