悪役令嬢ですが、チートが目覚めて溺愛されています


「嫉妬ってことは、あなたは私が好きなのね?」

 膝を叩くと、ルークは顔を隠したままこくりとうなずいた。

 生まれて初めてのむずがゆい感覚に、アリスは嬉しくなった。

 前世でも知らなかった、誰かに愛されるという喜び。ルークとは結婚してからも友達のようで、それはそれでよかったのだけど。

「嬉しい」

「え?」

「嫉妬してもらうなんて、初めてなの。嬉しいわ」

 顔を上げたルークは、息を整えて言った。

「君は綺麗だし」

「はい」

「頭もいいし、行動力はあるし」

「うんうん」

「好きにならない方が、どうかしている……」

 飾らない彼の言葉に、アリスの頬も胸も熱くなっていった。

「ありがとう。私も、あなたが好きよ」

 言い終わるか終わらないかのうちに、ルークが立ち上がってアリスを抱きしめた。

 狭い空間がぐらぐら揺れ、アリスも思い切りルークにしがみつく。

「副長、王子様の車箱が揺れてませんか?」

 後方の馬に乗って心配する部下に、隣にいたジョシュアが親指を立てて答えた。

「ああ……あいつらはお盛んだからな!」

 若い隊員の頬が、ポッと赤くなった。

 まだ何もしていないのに、ジョシュアのせいであらぬ誤解を受けていることを、新婚夫婦は知らなかった。