「やだ…!!お母さん!お父さん!」

「ごめんな…」

「もう十分、よ…」

死なないで!!治すから、置いていかないで!!

「「ーーーーー」」

✿✿✿✿

「っ!?はぁはぁはぁ…」

(夢、か)

もう何度目かと数えるのも億劫になるほど繰り返し繰り返し幼い頃から見る夢。

まるで、「お前の罪を忘れるな」と責められているよう。

枕が涙で酷いことになっている。

泣きすぎでガンガンと痛む頭を抑えながら起き上がる。

(二日酔いみたい)

(…ま、なった事ないけど)

ぼーっとする頭でそんな残念なことを考えていると段々と意識が覚醒してきた。

そう言えば今日は剣道部の朝練の日である。

7時20分から8時20分まで素振りの時間だ。

家から学校までは自転車で20分の距離なので準備の時間も合わせて6時半には起きないと間に合わない。

…嫌な予感がする。

(…今何時かな〜?)

恐る恐る時計を覗くと…

「やばっもう7時じゃん!?」

針は既に7時を回っていた。

これは確実に朝練遅刻である。

(わーまずい。ちよしにおこられるっ)

ベッドからガバッと起きて洗面台に向かう。

顔を洗い、歯を磨き、髪を結び、制服に着替え…るのは時間が無いので袴を履く。

姿見で軽く全身を確認し鞄を引っ掴んで家を出る。

「行ってきます!」