合格発表の後、母と一緒に決めた ワンルームアパート。

新潟の実家の 玄関よりも狭いスペースに 形ばかりのキッチンとシャワールームが付いている。


美咲は この部屋での生活が 想像できなかった。
 


「随分、狭いんだねえ。」

田舎の生活しか知らない母も、部屋を見回した後 ため息をついた。
 
「学生さんの部屋は、この広さが一般的ですよ。」

案内してくれた 不動産業者は、笑いながら答えた。
 

「寝るだけだから大丈夫だよ。」

美咲が 遠慮がちに言うと、母は静かに頷いて、
 
「そうだね。広くなれば 部屋代も高くなるからね。」と言った。
 


「このアパートは 女子学生専用なので、安心です。」

と言う 不動産業者の言葉に、母は頷いた。
 
「美咲、どうする?」

美咲も頷いて、
 
「ここでいいよ。学校も近いし。」と言う。