「どういう形で話せばいいんだ。適当に喋るのか、それとも朗読するのか。」
 妙高は周治に尋ねた。
「どっちでもいいよ。」
 周治はいつも通りのざっくばらんな答え方をした。性格が大雑把なるくせに緻密な作品を書こうとするから周治の作品はいつもおかしなことになる。
「 形式は倒叙だな。」
 妙高がそう言うと周治が言った。
「何だ、いきなり結末が解るのか。」
「 文句あるなら喋らねぇぞ。」
「 まぁそう言うな。喋ってくれよ。」

 妙高は記憶の中にあるその小説の最後の部分を朗読した。