となりのオオカミくん





「綾川さん、それおべんと?」





「…っへ?あ、あぁ、うん、そうだよ?」






突然背後から一ノ瀬くんがひょこっと顔を覗かせた。





いやぁ、びっくりした。気づいたらすぐそこにご尊顔が。






「綾川さんのおべんとおいしそ。俺にも」






「ま、マジですか…」







やっぱりそうきたか……。




実はうっすら気付いてはいた。





さっきから食い入るような視線を感じるなと…。








まあでも、いいか。





ひとり分作るのもふたり分作るのも大して変わりないし。







「じゃあ、明日から…ね?」





「やった」




一ノ瀬くん、すごく嬉しそう。







でもお弁当まで作るとなると本格的に彼女感増すな……。






学校の人にバレて誤解されたりしないといいけど。ファンとか怖そうだし。







当の本人は、そんなこと気にも留めていなさそうにご機嫌な様子でリビングに帰っていった。








今日はお弁当の具材の残りで朝ごはん。





二人で食べ終わったあと、一ノ瀬くんは丁寧に片付けをして制服に着替えに部屋へ戻っていった。












___家族がいるって、こんな感じだったなあ。






いや一ノ瀬くんは家族ではないけども。








でも、ひとりじゃない、誰かがいる朝がこんなにも幸せであることを、久しぶりに感じられた。








___よし、今日も頑張ろう。