「49、50、51、Bチームラスト1周です!」
「「「はい!!」」」
秋の気配が深まる10月。
私は結局マネージャーとして陸上部に残ることを決めた。
あのあと両親と顧問の村上先生と話して陸上部から引退するのではなく、マネージャーとしてみんなのサポートをすることになった。
それが5月のこと。
私たちは中学3年生で、本当は夏までだしちょっと早いけど部活は引退……という選択肢もあった。
だけど私たち陸上部長距離、もとい駅伝部は秋に駅伝があるから私たち3年生も任意で部活に残ることができる。
部活に出たくないと言っていたやつがなに言ってるんだと思われるかもしれないが、私はこの駅伝で走りたい……選手になれなくてもみんなが走るところを応援したかった。
だけど正直、もう走ることが辛かった。
だから村上先生がマネージャーとしてでも残っていいと言ってくれたとき本当に嬉しかった。
まだ私はこの陸上部の一員でいいんだ、と許しを貰えた気分だった。
みんなが走り終わり朝練が終わる。
私はみんなのタイムを測るのと並行して書いていたノートを閉じて、一足先に部室に戻る。
着ていたウインドブレーカーを脱いで震える手を堪え手早く制服に着替える。
制服に着替えたらリュックを持って部室を出て、朝練の時に書いていたノートを村上先生の元へ提出しに行く。