「咲さんは、悪性の脳腫瘍です」
先生から今日の検査でわかった病名を告げられる。
もう、脳腫瘍だってことは実感がないなりに理解はしていたつもりだけど、改めてそう言われるとやっぱりショックなんだなぁ。
……なんて、自分のことなのにどこか客観的に話を聞いていた。
先生からの話を隣にいるお母さんは涙ながらに聞いていた。
そして先生はさらなる爆弾を投下した。
「……最悪の場合、死にいたる可能性があります」
その言葉はいくら病気の実感がなくても私の頭を真っ白にされるには充分な威力だった。
最悪の場合、死ぬ?
……私が?
無意識に頬を伝う涙。
だって、ついこの前までマネージャーとしてだけど、みんなと普通に部活してたよ?
受け入れがたい状況に、私はもうなにも考えられなかった。
「咲さんの腫瘍はかなり大きくなっていますが、まだ手術で取り除けます。ですが、これ以上大きくなると危険です」
まだ、手術できるんだ。
そう思ったとき脳裏に浮かんできたのは文野くんの笑った顔だった。
……あぁ、文野くんに会いたい。
それから花菜、美穂、つぼみ、由乃、……と次々みんなが浮かんできて。
……みんなに、会いたいなぁ。
まだ手術ができるなら、助かる道があるなら、手術をしなきゃ。
みんなが駅伝優勝してくれるから、全国行くためにがんばってるんだから私が負けてちゃダメだよね。


