好きという名の幸せをあなたに。


「はい」と返事をし私は渡された紙に最初は左手で、次に右手で名前を書いた。

 
やっぱり左手に比べたら右手で字を書くときは力を入れてしまうし、ところどころ線は震えてた。


左手で書いた字と右手で書いた字。


2つとも自分で書いた字なのに、まるで違う人が書いた字みたいに全然ちがって、なんだか悲しくなった。


それからも先生の指示に従って数字を書いたり歩いたりした。


「なるほど……ちょっと検査してみよっか。CT撮るから検査着に着替えてね」


「伏見さん、こちらの部屋へどうぞ」


先生がそう言うと検査着らしきものを持っている看護師さんが隣の部屋へ案内してくれた。


「では、この検査着に着替えたらまたさっきの部屋へ戻って来てください」


「分かりました」


渡された検査着に着替えて隣の部屋へ戻ると


「ではこちらにどうぞ」


そう言われてまた別の部屋へ移動した。


移動した部屋にはテレビで見たことある、大きなドーナツ状の機械があった。


機会の中に入り検査が終わると、結果がわかるまでしばらくお待ちくださいと言われ、また待合室でお母さんと2人で待った。


「伏見咲さん、診察室へお入りください。」


今度はさっきよりも比較的早く名前が呼ばれた。


ノックをしてまたさっきの診察室に入った。


パソコンの画面に私の脳と思われる画像が映し出されており、先生はその画像を見て難しい顔をしていた。


なにか悪いところでもあったのかなぁ、と心配になる。