好きという名の幸せをあなたに。


「「「さようなら〜」」」


みんなが帰り支度をするなか、いつもだったら私も部室に向かうけど今日は違う。


私はそのままリュックを背負いお母さんが待つ校門まで急いだ。


道路のわきに止まっていたお母さんの車を見つけると走って駆け寄り車に乗り込んだ。


「おかえり、咲。」


「ただいま。」


「じゃあ、病院行くよ?」


「うん。」


そのまま車に揺られること数十分。


着いた病院は脳神経の病院。


その病院に入り、お母さんと待合室で待つ。


なるほど、神経が傷ついたかもしれないからこの病院か。


と、私はお母さんに前に言われたことに納得する。


私たちの他に何人も人がいて、空いているイスに座り本を読んで待っていた。


それから次々と私以外の人の名前が呼ばれ、何十分も待ったころ。


途中まで読んでたこともあり、持って来た本も読み終えてしまった。


そしていつのまにか私とお母さん意外、待合室には誰もいなかった。


そこからまた少し待つ。


「伏見咲さん、診察室へお入りください。」


やっと名前を呼ばれてお母さんと一緒に診察室へ入る。


白衣の来た先生の真正面に用意されたイスに座る。


それからいくつか症状を聞かれ、私は頭が痛いとこ、右手が上手く動かせないこと、今は右手の変わりに左手を使って板書をしたり食事をしたりしていることを伝えた。


「じゃあ、左手と右手で実際になにか書いてもらってもいい?」


「はい」


「じゃあこの紙に名前書いてくれる?」