好きという名の幸せをあなたに。


2人が本を借りてくれると言うので私は貸し出し手続きを待っている間、自分の借りる本を選ぶことにした。
 

今回はファンタジーとか読みたい気分だなぁ。


あ、でもこの百人一首の本も面白そうだしなぁ…


なんて考えながら図書室内をゆっくり周る。


悩んだ末3冊選び、私も貸し出し手続きをすると、「伏見」とまた文野くんに呼ばれた。


図書室の自習スペースに文野くん、平山くん、私の3人で座る。


「伏見に今日の部活のことで聞きたいことがあるんだけど」


文野くんは陸上部のキャプテン。


私はマネージャーだから先生にメニューの詳しいことやグループ分けのことを事前に聞いておくことがある。


だからたまにこういうことも話す。


……だけど。


「ごめん、文野くん。私今日は部活休むから先生に詳しいこと聞いてないんだ!」


今日は残念ながら聞いていない。


「そっか……今日伏見、休むのか……」


な、なんだか文野くんのテンションがすごく下がってる?


「もしかして右手のこと?」


私がハテナで頭いっぱいにしている頃、平山くんが私に聞く。


「あ、うん。実は右手のことで今日病院行くから部活休ませてもらうんだ」