「……なんで?」


「だって、これじゃ悝世とギュッてできない……っ」


悝世はわたしのこと抱きしめられるけど、わたしはできないから。


触れたくても触れられないのが、もどかしくなってくるの。



「……無理、死にそう。なんなのその可愛さ」


「うぅ……んっ」


さっきのキスよりもずっと強引。
とっても深くて、長いキス。



キスしてる最中、手首に巻かれたネクタイがシュルッとほどける音がした。



「……ほら、これでギュッできるね?」


「うっ、バカぁ……っ!」


なんて言いながら、ギュッて抱きついちゃうわたしってすごく単純。



結局、この日は午前中はずっと悝世と空き教室で過ごして。


午後から制服に着替え直して、2人で文化祭を楽しんだ。



翌日はシフトを抜けてしまったことを怒られて、めちゃくちゃ謝って、クラスの女の子たちからは質問攻めにあったり……で、波乱の文化祭はこうして幕を閉じた。