「スティーブン、映像撮ってたんだ……」

苦笑する舞につられて早苗も笑い出す。早苗は言った。

「私のことはもう考えなくていいよ。舞ちゃんは自分の気持ちに従って。好きなことを楽しんで」

「……早苗ちゃん」

舞の頰を涙が伝う。口から嗚咽が漏れ、その場に舞は座り込む。

「ありがと……。私、もう気持ちに嘘つかないよ……」

踊ることが舞にとってとても楽しいのだ。踊らない自分など、自分ではない。舞は涙を拭い、もう一度踊ろうと決意する。

早苗の電話を切った後、舞はスティーブンに電話をかけ始めた。



それから三ヶ月後、舞は緊張する胸を押さえながら自分の衣装を見つめた。着ているのは、ブラウンのリボンを結んだブラウスとふんわりとしたシフォンスカートだ。

「舞、似合ってる!撮影楽しみだよ」

スティーブンが笑い、舞は「久しぶりだし、緊張する!」と笑う。これから踊ってみた動画を撮影するのだ。

舞はスティーブンに電話をし、ダンス部の大会に出場した。そして、もう一度踊り手として活動を始めることを話したのだ。