『はあ…』
何とかクラス名簿だけ見た私は、今年のクラスである二年三組へと入った。
まだ時間には間に合っていたらしく、席に着いている人は極僅かであり私の席には知らない人が座っている。
嗚呼、所謂陽キャ組と言う奴か…関わると面倒だ、とは言え私の席であるようだし…どうしようか。
そんなことを考えていれば、同じクラスだったらしい雪菜さんが私に気付き、大きく手を振ってくる。
昨年から人気者であった彼女の周りには、今年初めてクラスメイトになった人さえ近くに居て…やはり私とは住む世界が違うのだな、と思わされる。
雪菜「円ちゃん!同じクラスだったねー!」
『そうですね』
明るく声を掛けてくる雪菜さんに、それだけを返したからなのか。
…少し、こそこそと小声で何かを言っている周りの取り巻き達。
別に何を言ってくれても良いのだが、其処は私の席である。
取り敢えず退いてはくれないだろうか。
雪菜「あ、此処円ちゃんの席だよね!ごめん、退いてくれる…?」
「…分かった!」
肩までの茶髪をくるんと巻いている綺麗めな顔をした女の人がそう言い、私の席から退く。
よし座ろう、と思いその席に近付いた時。
「何であんたみたいなのが雪菜ちゃんと仲良いんだよ」
茶髪の彼女にそう言われたのを、私はしっかりと聞いた。
逆に聞きたいのは私だ、私も何故彼女に声を掛けられるのか聞きたいと思っていた。
…そして、貴女が何故彼女を好いているかも。
雪菜「席遠いんだよね〜円ちゃんと私…まあ城崎と宮島だから仕方ないのは分かってるんだけど」
『そうですね』
私は私は雪菜さんと話をすると、何故か そうですね としか返すことが出来なくなる。
他の返事の仕方など分からないのだ。
少しでも間違った返事をして、面倒事になってしまうのは嫌だから。
雪菜「今年の担任の先生誰だろー!」
『さあ…』
「新道は嫌だなー、雪菜ちゃんもそう思わない?」
雪菜「あー、新道先生怖いもんねー。美香ちゃんいつも生徒指導受けてるし」
美香「言わないでよー!」
…嗚呼、この人…やっと誰か分かった。
工藤美香(くどうみか)、昨年隣のクラスだった所謂ギャルと言う存在だった気がする。
圧倒的陽キャ、陰キャである私にはどうしても好かない存在だ。
雪菜「でも、私も怖いかな〜新道先生は」
美香「だよね!他の人が良い〜!」
雪菜「円ちゃんは?」
『…誰でも良いです』
赤点さえ取らなければ、必要以上に関わることもないのだから。
何か余計なことをしてしまわなければ、だけどね。
