「今日、庇ってくれただろ」

聖が照れくさそうに顔を掻く。


「あれは私が単純にムカついただけ!っていうかアイツを思い出させるようなこと言わないで。イライラしちゃう」

「ちょー怒ってんじゃん」

「わ、私だって怒る時ぐらいあるの!」

って、聖に八つ当たりしても仕方ない。

ふわりと私たちの間に風が吹き抜けて、窓際に飾ってある魔除けがカタカタと揺れている。

最初は可愛くないって思っていたけど、こうして見ると愛着が湧いてくる。私を守ってくれた魔除けだし大切にしよう。


「お前さ……」

「え、は、はい!」

ヤバい。聖と話してたのに、全然違うことを考えてた。


「なんにも聞かねーのな」

聖は憂いを帯びた目をしていた。


柔らかく、だけど切なさを隠せないような瞳で私のことを見るから……自然と手すりを握る手を強くしていた。


「……聞かないよ。話すって選択肢は聖が決めることだもん」

急かしたりしたくないし、話すことでツラくなるなら、永遠に言葉にしなくてもいいとさえ思う。

そのぐらい私は聖に苦しんでほしくない。