私は急いで篠原くんの上からどいた。
「ったく、気をつけろよ」
それだけ言って私に背を向けて歩き出してしまった。
あ…私、篠原くんに助けてもらったのにお礼言えてない。
……よし。
「…っし、篠原くん!!」
「ん?」
「…ありがとう」
顔を見て伝えるのがちょっと恥ずかしくて思わず視線を外してしまったけど、言えた。
「………」
篠原くんは何も言わずに歩き出してしまった。
「…あ、あの!」
もうひとつ──
「私、運動が苦手で担当の綱引きが上手く出来ないの。だから綱引きを上手くできるアドバイスを教えて欲しくて…」



