「………」 私もしかして──篠原くんの事、知ってるの……? その頃の記憶が鮮明に蘇ってくる。 「ねぇ篠原くん…私、篠原くんの事知ってるの……?」 恐る恐る聞くと、篠原くんが今までで1番優しく笑った。 「ふ……やっと思い出してくれた」 トクン── トクン…? その瞬間、篠原くんに抱きしめられた。 あぁ──やっと分かった。 篠原くんの悲しそうな顔を見て、心に引っかかった理由。 篠原くんが文化祭で女の子をナンパしてすごく苦しかった理由。