さよならが言えなくなるその前に


「レミちゃん、ほんとに彼氏いないの?




こんな、かわいいのに」




「…いないよ」



レミに彼氏なんて…



いないもん。



レミは笑ってる。




那智さんが



こんな風に言ってくれたら…




「マジで


レミちゃん、おれなんかあり?




おれ、マジになってもいいかな」




コウジくんとレミの頭は近づいて



コウジくんがレミの耳元で言った。




「今から、2人でちゃんと



話ができるとこ行かない?」



レミは酔った頭で思う。




ちゃんと話ができるとこってどこ?



ホテル?




コウジくんの言葉がどこまで



“マジ“ かなんか




レミにはわからないけど。




…那智さんはこんな気持ちなのかな。




レミは考える。




いろんなひとと出かけたり




エッチしたり?




レミもこうじくんと行けば




その気持ちが少しはわかるのかな。




ふらーっとそんな風に思ってたら





誰かが、レミとこうじくんのあいだを




遮るように来て



バンって。




カウンターを叩いた。




…那智さん。