レッドのVIPルーム。





フロアを見下ろすガラス貼りの窓に




もたれるように座って




下を眺めていた翔輝。




翔輝が手を挙げる。




「那智先生」



「お前、あれぐらい仕切れなくて



支部の頭がつとまらねーだろーが



…誰が先生だ」



まなとに説教していた那智が



一応、翔輝に突っ込む。



「嫁が浮気してるよ」



「おれに嫁なんかいねえ。



マナト。お前がしっかりしねえから



下のもんがめちゃくちゃやって




こっちにケツがまわってきてんだろ」




那智はマナトに向き直り



説教を続けてる。



翔輝のそばに来た大輝も下を覗いて言う。 




「あ、ほんとだ。



那智先生の嫁が浮気してる」






「…もういいから。




次はねえからな」




おかげで早々と説教から解放されるマナト。





那智が立ち上がりながら言う。




「レミだろ。



ナンパされたかなんか、それだけだろ?」




余裕の那智。




クラブレッドは




治安がめちゃくちゃいい。




なぜなら、ここでトラブルを起こすことは



ブラアイのシマを荒らすことになるから。





そんなバカはそういない。




だから、クラブレッドでのナンパも




女の子が嫌がれば即終了のはず。





レミが嫌がらないはずはない。




…のはず。




「んー。



今にもお持ち帰りされそうっすけどね」



大輝がよく見ようと




翔輝とおんなじように首を




傾げた体勢で言った。