「あ。あの。困ります。」
優香は男の子の後ろで騒ぐ。
無視すんなっ。
なぜか、パーカーの子は、
キョロキョロ。
天井見たり、
窓枠?窓見たり
何かチェックしているみたい?
「あの。
何の用なんですか」
怖いよー。
彼がこっちを向く。
ドキ。優香の心臓がビックリする。
「一つ目。
着替えるときは、カーテン閉めようね」
は?
何言っているの。
「丸見えだから」
窓を指さす。
え?
窓に近寄る。
向かいに立つ3階建てのマンション。
でも道路挟んでいて、
結構距離も、あるし。
気にしたこと無かったけど…
あそこから?
は?
「何言って」
「梅酒の缶酎ハイ」
「え?」
「さっきまで飲んでた酒」
え。テーブルにはもうない。
この子が来る前に片付けた
知らないはずのお酒の銘柄…
「…見てたってこと?」
ゾワゾワ。
「2つ目。」
2本指立てて言う。
「オートロックのとこ引っ越そうか。
ここ、どっからでも簡単に入れる」
はい?
「いったい何言って」
私の声は無視して続ける。
「3つ目。」
そういったかと思うと
両手を広げた。
何なの。この子―。
あなたのせいで
さっきから、私の心臓
追い立てられたように早鐘
打たされているんですけど。
怖い。
どうしたらいいの。
叫ぶ?
見ず知らずの男の子が
近づいてくる
心臓がいっそうドキドキ
冷える。
いやだ、
もう私って何しているの。
不倫オトコに騙されて
ノコノコ、知らない子家に上げて
こんな目にあってる。
近づく影に覆いかぶさられる。
優香はギュっと目をつぶった。
うわーぁんっっ。
犯られるーー!



