ごくん。



レミは一気にお酒を飲んで、カウンターに




置いた。




バカのひとつ覚えのレミは



やけ酒くらいしか




このどうしようもない気持ち。




発散の仕方知らないから。




「レミー




飲みすぎないでよー」



美弥が声かける。




「大丈夫ー」



そういいながら、もう一杯頼もうとするレミ。




「ほんとに、大丈夫かよ。




ウチはあんたの彼氏がこわい」



「レミに彼氏なんて



いないもん」



レミがそう言ったときに



「何なにーだれが、彼氏いないのー」



声をかけてきた男の子たち。



「えー。うちら?」



瞬時にかわいい声に変えて言う美弥が




レミの耳元でさっと小声で言う。




「左めっちゃタイプ」



左ー。



優しそうだけど、



それだけって感じ。




那智さんとは違う。



レミは最近いつも



こうやって、何でもすぐ




那智さんと比べて考えちゃう。




美弥のタイプかー





なら、レミも邪魔しないように




もうひとりのひとと話してよー。




「名前なんていうの?」もうひとりの男の子が



話しかけてきた。





茶髪の髪がツンツン立ってて、肌も



小麦色で、



笑ったら目尻が下がる優しそうな子。




コウジくんだって。




「レミ」



「レミちゃん?かわいい名前だね。



しかも、この黒髪めっちゃ



似合っててかわいい」




「ほんと?」



嬉しい。那智さんのために黒くして



誰も褒めてくれなかったけど。



レミが嬉しそうに笑う。