まだ、あのおねーさんの言葉が
耳に残ってる。
『レミちゃんを大事にしてあげられるのは
レミちゃんだけなんだから。
レミちゃんが自分も
自分の気持ちも
大事にしてあげなきゃ。
相手のひとにも
大事にしてほしいって
頑張って
伝えるべきだよ!』
でも、レミには那智さんにそんなこと聞く
勇気なんかなくて
那智さんに呼ばれたら
行ったし。
めんどくさいことなんか
言えないし。
でもね。
那智さん。
ご飯食べにだって連れて行ってくれるし
遅いときは、泊まればって
朝まで一緒にいてくれるし
レミといるときは
レミだけ、みたいに
優しくしてくれるんだよ。
だから、少しは
少しはレミのこと好きかも…
そう思ってた。
でも、今日。
レッドの近くで
那智さんを見た。
那智さんと女のひと。
女のひとは、着物姿で
髪の毛なんかバッチリ結い上げられていて
多分どっかのクラブのママっぽい。
すごく、大人でキレイなひとだった。
レミなんか、マネしようとしても
ぜったいに真似できないくらい
大人なひとだった。
そのひとに手を組まれて歩く那智さん。
やっぱり、
そうなんだ。
ショックだったけど、
やっぱりって思う気持ちはあって
だけどね。
そのとき
那智さんレミに気づいたの。
レミの視線が強かったのかな?
那智さんがレミを見た。
レミ芝居なんかできないから
きっと、すごい顔してたと思う。
けど、那智さんは
そんなレミ見て
普通のかおしてた。
なんならちょっと笑ってるような
平常心のかお。
レミ
それが一番痛かったよ。



